HLA について
HLA は Human Leukocyte Antigen の略で、日本語では「ヒト白血球抗原」といいます。
白血球の血液型として発見されたため白血球抗原と呼ばれていますが、実際には赤血球を除くほぼすべての細胞と体液に存在しています。
MHC : Major histocompatibility complex (主要組織適合複合体)を構成するタンパク質であり、免疫機構が自己と非自己を識別するときの符号となる重要な因子です。
免疫機構が「非自己である」と認識した場合攻撃をしてその異物を排除しようとします。
骨髄移植や臓器移植をするときには HLA のタイプを合わせて、免疫機構の攻撃が起こらないようにする必要があります。
このため HLA の適合性を調べる検査は非常に重要です。
ー遺伝子とはー
両親から受け継がれる遺伝は、細胞の核と呼ばれるものの中に存在する、遺伝子がその情報を伝えています。
遺伝子の最小単位は、DNAまたは塩基と呼ばれ4種類あり、頭文字を1文字表記しA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)と表します。
この4種類のDNAが結合し並んだ配列そのものが遺伝情報となり、遺伝子と呼ばれます。また、遺伝子の集合が染色体を形成します。
ー遺伝子は両親由来ー
身体の設計図である遺伝子は父親由来と母親由来の2つの遺伝子があり、あなたの身体をつくる元データとして細胞の中に保存されています。
ほとんどの遺伝子は、両親のどちらかのタイプを受け継ぎます。
移植とHLA適合検査
HLAは両親からその半分ずつを受け継ぐため、親子や兄弟の間でも一致する確率は低く、まして非血縁間では数百〜数万分の1の確率でしか一致しないといわれています。
造血幹細胞移植や臓器移植では、自分のHLAのタイプに合わないものはすべて異物と認識して攻撃を始めてしまうため、HLAの適合性が重要視されます。
そのために主に血縁者間でHLA検査を行い、ドナーとレシピエントの適合性を読みとることが必要となります。
HLA 遺伝子は6番染色体短腕(6p21.3)に局在しています
HLA 遺伝子は 6 番染色体の短腕に密に局在しています。組換えはほとんどおこりません。子は両親のハプロタイプをそのまま受け継ぐので親子関係診断にも使われています。
多型に富んでいる A, B, C を検査の対象としております。
DP, DQ, DR はそれぞれ α 鎖 β 鎖をコードする遺伝子が複数ありクラスターを形成しています。しかし偽遺伝子も多く実際に発現しているものは限られています。
α 鎖よりも β 鎖の方が多型に富んでいるため、β 鎖の遺伝子を検査の対象としております。
赤い矢→で示したA, B, C, DRB1 遺伝子が当社の検査対象です。
HLA にはクラスIとクラスIIの2種類あります
HLA にはクラス I とクラス II があります。
最も重要なのは T 細胞への抗原提示部位(図の水色の部分)で多型に富んだ領域です。
当社では、クラス I α 鎖の HLA-A, B, C 遺伝子全長の DNA 配列を決定し HLA の型を判定します。
クラス I の β-ミクログロブリンは15番染色体にあり、多型もほぼないため検査の対象にはしておりません。
また、クラス II では最も多型に富んでいる DRB1 遺伝子の exon2, 3, 4 (抗原提示部位から膜貫通領域に相当)の DNA 配列から HLA の型を判定します。
HLA 型の表記について
HLA タイピングでは最も高い解像度で第4区域(8桁)まで表記され、最後尾にアルファベットが付く場合もあります。
当社では次世代シーケンサーにより DNA 配列を決定し、第3~第4区域(6~8桁)の解像度で判定します。